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目標管理制度を成功させるには

常務取締役 岩崎玲子

 当社はコーチング研修を提供している関係で、目標管理の運用を支援することが多い。昨年、目標管理を実施している企業の管理職(部長、課長)および一般層に対するアンケートから目標管理の成功のポイントを導きだした。

 
 

 ひとつは、「(目標管理への)上司の支援」が前提としてなければならないということである。特に課長に対する部長層の支援である。昨今の企業活動では中間管理職(課長)に部下管理が一任されており、その課長への上層部の支援が不足気味であることが問題として注目されている(リクルート『Works 88号』)。部長や部門長が目標管理を行う意味を管理職と話し合い、その部下育成スキル(コーチング)に対する指導や相談にのる体制をつくる努力が必要である。

 ふたつ目は、「会議や書類などの業務プロセス」に負担を感じない環境であること。目標管理の他に作成する書類が多いと“その上また書類を作るのか!”と目標管理制度に負担を感じる。そして、上司と「オープンに話せる風土」がないと、制度に納得していなくても課長や一般社員は「何も言わずに」従うことになる。このオープンな風土とは表面的な良好さではなく、仕事をする上で上司に対する疑問提示や提案という建設的な対立ができる関係ということだ。業務プロセスは一般層や管理職だけでは変更が難しい場合も多く、会社として取り組む必要がある。その意味でも、目標管理の導入には経営者や部門長がコミットする状況をつくらなければ運用はうまくいかないであろう。

 三つ目には「戦略の理解」が社員にあるかという点である。会社は何のために、どこを目指して、どのように進むのか。自分は何を期待されているのか、ということがストーリーとして理解されていなければ、その達成をめざす目標管理への納得も得られない。どの組織でも、戦略や期間計画は策定されているであろうが、それがどれだけ社員それぞれのものになっているかがポイントであろう。戦略をよく共有している組織では、目標管理についての理解も高いようだ。

 四つめは「学ぼうという姿勢」である。我々の調査では、自ら学び、また周囲を助ける・育てるという思考と行動の高低は業績に直結していた。結局、個々のスキルが高くないと目標管理を運用しても業績改善には繋がらないし、組織を通じて個人の学びが促進されるなら、同じ失敗は繰り返さないなど仕事効率も高まるであろう。

 目標管理制度は本来、目標達成のための手段である。結局のところ「何のために」目標管理を行なうのか、ということを参加する社員ひとりひとりが自ら考え、腹に落とすような働きかけを重ねることが肝要ということだ。導入に際して、現場のリーダーや社員たちを話し合いに参加させて、自らその制度を行うことを選択させるような導入が望ましい。時間がかかるようだが運用において抵抗がでない分、結果的に近道になるのだ。

 (この内容は2008年12月の人材育成学会で事例発表しています)

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