コーチングとは何か
部下の「問題」とは何か
先日、ある会議でこんな光景を目にした。会議を主催する20代後半のその人物は熱意をもって積極的に議論を引っ張っていた。しかし、そのがんばりとは裏腹に、会議の空気は沈滞ムード。観察していると、その人物の発言にトゲがある。「それは違うと思います」「なぜできないのですか」と発言者をとがめる口調が強い。周囲はますます消極的になり、本人のいらいらは募るばかり・・・。結局、その人物のいうとおりの方向性で企画が決まったが、本人は浮き上がってしまっていた。参加者の顔に満足感がなかったのはいうまでもない。終了後、本人にそれとなく話しかけて見ると、参加者に不満たらたらである。「どうして、みんなやる気がないのだろう。私は私なりに成功させようと努力しているのに。」どうやら自分の態度に問題があるかもしれないということには気が付いていない様子。後日、その人物の課長に尋ねると「そうなんだよね、一生懸命なんだけど、言い方がきついんだよね。どうしたら気づかせられるか、僕も困っているんだ」ということだった。
皆さんの周りにはこんな人物はいませんか。上司の皆さんから見ると、「あそこが課題」と思うのだが、それとなく注意しても本人は一向に気が付かない。あるいは、個人プレイヤーとしては優秀だが、周囲を見て若手をリードする思考がない部下。できればそろそろ昇格させたいのに「僕はこれでいいんです」等と平気でいってくる。しかし、そのままでは、本人はよくても会社としては問題だ。しかも、その点をクリアすれば貴重な戦力になりうることも事実である。こうした人たちには、できるだけ早く自分の課題を理解させ、行動を変えてもらう必要あがる。
管理職の役割と課題とは
当社では、こうした部下の「視点を上げる」会話こそ、最も重要な管理職の役割のひとつだと考えている。我々人間は過去の経験や自分の知識で出来上がった認知(見方・考え方)で物事を判断しやすい。部下も部下なりの枠組みの中にいて、その中では「自分は正しい」と思っている。しかし、より高い視点、広い視野から見れば、それではよい結果を生まないことが多い。人が成長するということは、知識や方法論の習得だけではなく、それを使うためにも「考える視点」を早く上げていかなければならない。それこそが、第一線の管理職に課せられた主要な「育成課題」のひとつなのではないかと思う。
視点を上げるとは、「なぜこの課題に取り組まなければならないか」ということを部下の腹に落とさせること」すなわち「自分を客観視させる」ことである。リーダー人材が不足しているということのひとつは、この「客観視」ができない人材が多いということではないか。部下の視点を上げて客観視させるような問いかけを日々行うことこそ、管理職の課題のひとつであるといえよう。
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