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信頼関係をつくる(1)

株式会社トッパンマインドウェルネス 常務取締役 岩崎玲子

仕事を始める基盤づくり

当社ではコーチングの目標を『部下をやる気にさせて、前向きな行動変容を促し、目標達成すること』に置いている。そのために、最初に重要になるのは「部下と信頼関係ができるかどうか」であると考えている。部下が心開いて語ってくれる状態を作って始めて、「業務ができる」状態になるといえる。仕事の指示・管理だけでは管理職は勤まらず、その前に仕事ができる関係を作る必要があるのだが、案外このことが意識されていないように思う。

信頼関係をつくるには

業務ができる状態になるためには、まず、部下の問題点ばかり指摘することなく、できたことは認めたり褒めたりするようにしよう。できたことを認めることで、部下は自信を持つことができる。人間、自信がないことには、なかなか前向きにはなれないのではないだろうか。自信を持たせることは、やる気を引き出すためには重要だ。

そして、相手が困ったときにすぐに話ができるよう常に「胸襟を開き」、対話の機会が取れたら「話を聴く」ことである。その際、「何を甘えたことを言っているんだ」と思うことがあったとしても、「そう感じるんだな」とまずは共感してやることだ。考え方の違いはその後でも正すことができる。ここで間髪入れずに意見したら、部下は「分かってくれない」とたちまち心を閉じてしまうだろう。

部下と信頼関係を築くには、自分が信頼していることを伝えることも必要だ。そのためには、部下のスキルに応じて仕事を任せることがメッセージになる。「上司は私を信頼して任せてくれたんだ」と思えば、部下の気持ちも変わってくる。反対にいちいち心配して指示され続けたら「上司は私を信頼していないんだ」と感じるだろう。こうした「権限委譲」によるマネジメントはスキルが高い部下により適している。経験が浅い部下には「任せた」つもりが事故に繋がったり、過度のプレッシャーになったりする場合もあるので注意が必要だ。

口数の少ない部下に困っている管理職の中に「性格は変えられない」と言う人がいるが、性格を変えるのではなく「行動や考え方」を変えると心得よう。まずは話をしてくれるように、答えやすい質問を重ねてみてはどうだろう。「AとBではどちらだと思う?」と選択肢を与えたり、「はい、いいえ」で答えられる質問から入るとよい。「どう思う?」「どうして?」といった自由に答えられる質問は言葉に詰まる場合があるので、慣れてきたら少しづつ取り入れる。また、褒めるのが苦手という人は、人脈を紹介したり、資料を提供したりと相手の仕事や成長を具体的にサポートすることも効果的だ。つまり、部下と信頼関係をつくるには、部下を支える言動を心掛け、実行することである。「内発的動機付け」の第一人者エドワード・デシらによると、自律性と有能感は動機付けに結びつく。信頼関係を作り、任されている、自分ならできると感じられるようになれば、やる気の創造にも繋がるのである。まさに、「業務ができる状態」をつくることになるのだ。

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