仕事のフィードバックを行う
部下の成長とは
部下の成長とはどういうことをいうのだろうか。新たな知識や技能を習得したということも成長のひとつだろう。しかし、われわれは「自分では気付いていない点に気がつく」「視点が上がる」ということを「部下の成長」と捉えて重視している。人間には認知(ものの見方、考え方)のくせがあり、無意識つまり自覚なく行動しがちで、周囲がそれを「問題だ」と感じていても本人には理解できないことが多い。しかし、その気づいていない視点に気づくと、行動を修正することができる。すると周囲からみれば「課題だ」と思われていた点が改善するため、周囲との関係も良くなり、社会の中で信用を獲得し、居場所ができてくるのである。このような成長を部下にもたらす重要な機能が上司による「フィードバック」なのである。
フィードバックの目的
フィードバックと聞くと「考課フィードバック」を思い浮かべる方が多いかもしれない。しかし、フィードバックという言葉そのものは、部下の仕事ぶりや結果に対して強化、統制、修正の目的で意見や反応を返すことであり、日常の問題である。フィードバックがなければ、自分のしたことが良かったのか、悪かったのか、また相手は自分をどう思っているのか「想像」するしかなく、時間が無駄になったり、誤解やボタンの掛け違いを招く危険がある。そしてフィードバックがなければ日々の業務も新たな挑戦も「やりっ放し」に終わることになるのである。フィードバックとは部下の成長を支援し、目標達成を促す目的で行われるコミュニケーションなのである。
そう考えると、フィードバックをしない手はないと思うが、前回触れたように相手との関係を保ち、相手のやる気を維持しながら、課題を指摘するのは案外難しい。指摘を受ける側もプライドを傷つけられたり、面子を脅かされたりすることを恐れ、防衛的になり自己弁護や反発が生じて「自分に気づく」ことが難しくなる。しかし、米国の心理学者エドガー・シャインは、人が新しい役割を勉強する社会化の課程では、面子をつぶすことが許されるという。それは指導者に守られて訓練を受けている最中のことで、新しい地位や価値を再構築するために必要なことだとしている。(白桃書房『プロセス・コンサルテーション』)つまり、相手の面子をつぶすことになっても、部下の成長のためなら、許されることであり、むしろやらなければならないことだといえる。但し、上司が課題を指摘するのは「君の成長のためなんだ」ということが上司の側に明確にあり、それが相手に理解されていることが必要なのである。
うまくフィードバックするには
こうした日常のフィードバックこそが、部下の視点を上げ、部下の言動を変える原動力になるのである。視点が上がってくると、業務も楽しくなるものだ。日々そうした変化を繰り返す組織を作っていきたいものである。
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