TMW UP FRONT

組織を変えるために

常務取締役 岩崎 玲子

 昨年、組織変革リーダーシップ研修を開発し、いくつかの組織で提供してきた。

 この研修は、「やらされ感いっぱいで業績があがらない組織」から、「活き活き主体的に社員が動き、業績が上がる組織」へ、どうしたら変革できるかということを、現場で使える手法として開発したものだ。

 リーダー(部長、本部長層)は早期に業績を上げるように期待されている。そのため、部下の行動を変えようと指示命令に走りがちだ。すると、部下は指示に従うことが多くなり、「指示」以上の結果はもちろん“考えのない行動”になって、指示通りの結果も生み出せなくなる。

 これを断ち切るには、4つのプロセス意識する事が必要だ。

 スタートは、遠回りのようだが、部下が安心して発言できる信頼感のある組織をつくり、その上で相手に意見を求めて当事者意識を持ってもらうことが必要だ。さらに、主体的に動いてもらうためには、部下をいくつかのユニットに分けて、目標を与えて進め方は任せるというマネジメントに徹することだ。その上で日々観察し、的を得た質問(コーチング)によって遂行を支援し、結果がでたら期中でも期末でもフィードバックを必ず行う。

 こうしたベーシックな動きを行うことが案外難しい。

 その理由として、この研修のターゲットとしているリーダー(部長、本部長層)のスキルにばらつきが背景にあるのではないかと感じている。参加者を見ていると、コーチングやファシリテーション、マネジメントといった基本のスキルを知識として理解し、実践を試みてきた人と、研修機会の有無を含めまったく学習せずに昇進してきた人に分かれるように思う。

 成果を上げるにはピープルマネジメントが欠かせない。それらは、現場実践によって磨かれるものだ。マネジメントの基本スキルを学ばすに来たリーダーは、研修機会の有無に関わらず、PDCの実践において適切な問い(コーチング)を現場で受ける機会が少なく、指示命令を受けてやってきたのではないか。そのため、自分もコーチングではなく指示命令を繰り返し、コーチングの必要性や有効性に関心がもてないでいるのかもしれない。

 組織を変えたいと思うなら、部長になる前に「コーチング」「ファシリテーション」「マネジメント」「考課フィードバック」の手法とその意味は理解しておきたい。研修だけでなく、これらのスキルの実践に対して、日常的に上司がコーチングでサポートしていければ素晴らしい。

 そうした循環を生むためには、「研修」だけを考えるのではなく、「リーダー育成の重視」を方針に掲げて徹底し、幹部や管理職の仕事において「部下育成(コーチング)」を定義づけて明確に評価に反映するなどしくみも動かせるとよい。もし、早急に上層部にスキルを理解させる必要があれば、役員層を含めた幹部が合同で変革プロセスを実践しながら学ぶか、幹部が専門家のコーチングを受けるなど思い切った策が必要かもしれない。

 今年のアメリカの人材開発学会では、OJT強化の観点からコーチングが見直されていると聴いた。日本でも一段落した感があるコーチングだが、変革が必要な今こそ部長以上の幹部が実践を強化すべき時かもしれない。組織を変えたいなら、リーダー自らが変わらなくては!(自戒を込めて)。

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