トッパンマインドウェルネスとは ~社内ベンチャー設立の背景~
トッパンマインドウェルネスは、個人と組織のモチベーション向上を目的に凸版印刷の100%出資により平成14 年4月15日設立されました。個人の主体性、意欲の向上、さらに人と人とのコミュニケーションの観点から組織の活性化を促進する、教育・コンサルテーション領域のサービスを提供しています。
当社は社内ベンチャー企業です。「印刷会社であるトッパンがなぜこのような会社を?」とよく聞かれます。きっかけは5年前、私が能力開発部の主催する異業種交流研究会に参加したことでした。異業種交流会の課題は他2社から選ばれたメンバーとともに「21世紀に競争力を保つ企業とは」というテーマに基づき新規事業企画を練ることでした。私はこのとき、初めて「印刷」という枠組みを取り払って、心底「自分は何をやりたいのか」「21世紀、企業や社会にとって何が必要なのか」ということを考えたのです。
入社初期、私の上司は大変おおらかな人で、「任せたから好きにやりなさい」というタイプの人でした。真っ白な巨大な紙を目の前に「好きに書きなさい」といわれても、何からどう描き始めたらいいのか分からない、そういった心境でした。また私には「先輩方や上司ともっと話したい」という強い欲求がありました。しかし、教えを乞うても「お邪魔だったかな?」と感じてしまうような雰囲気が感じられ、寂しく、残念に思っていました。
こうしたことを感じるのは、私だけだろうかと思ったのですが、同期の同僚と話していてもやはり上司や先輩に話を聴いてもらえるとうれしいのだと感じました。それはやがて、営業フロアの動きをみていて「いつも部下が隣にいて話をしている課長と、常に閑古鳥がないている課長がいるのはどうしてだろう」という問いや、「いい営業だな」と思う課長の下にいるのに、「この人分かってないなあ」と感じる若手と仕事をしながら、「どうして学ばないんだろう。どうしたら、課長の営業としての「肝」が彼に伝わるんだろう」という問いに結びついていきました。
当時「役に立ちたい」という思いとは裏腹に、自分自身を客観視できず「土俵にうまく乗れなかったこと」が幸いしてか、私は早くから「自分はこのままでいいのだろうか」と自問自答を繰り返していました。そして、こうしたことは私だけでなく近い将来皆が、自分の人生を自分で決めていかなければならないようになるとの確信がありました。そしてそれは、とてもしんどいことだあなと思っていました。
会社の収益が伸びにくくなっている昨今、これらの辛い状況に陥る可能性が増えるだろうという実感と反比例して、人間的な結びつきがドライになっています。それが、「受け皿を作っておく必要があるのではないか」という考えに結びついていきました。"何をするか""どうするか"と考えるためには「人と対話する」ことが必要ではないか。そこを基盤にまた自らが「再生」していくような、「考える受け皿」というインフラを整えたい、というものです。そのためには、管理職にコーチ(思考のための受け皿)を用意し自らが自分について、組織について考えていただき、やがては管理職にコーチングスキルを活用いただくことで、組織の中に「考えるインフラ」を作ることだと考えました。
こうした背景から、「21世紀に競争力を保つ」には「コミュニケーションのある、互いに関心と配慮のある組織」を作ることだと思い至ったのです。では、コミュニケーションを促進するにはどういった手段があるのだろう。現場の中で私達の企業の「知恵」はどうしたら若手に伝えられるのか、また意欲的に「学ぶ」には何か必要なのだろう、そんな疑問を調べていくうちに行き当たったのが「認知心理学・社会心理学」の活用でした。私は心理学の素人であり、人事担当者ではありませんでしたが、現場の実感として「このままではいけない」という強い思いがありました。そして今現在も、ここによりどころがあります。 4ヶ月の異業種交流研究会の後、各社幹部の前でプレゼンテーションを行ないました。その結果、凸版印刷社内で、事業化検証のプロジェクトを実施することになりました。平成11年11月から3年間社内サービス展開を行い、その間にマーケットリサーチと事業計画を作成し、設立に至りました。
設立2年目を迎え、試行錯誤が続いています。しかし、若い社員と話す機会があるときには、自分の経験を踏まえて、日本の会社はどこかにおおらかで柔軟な側面があるということを伝えます。大きなチャンスをもらったことに感謝するとともに、私自身、そう信じていたいところもあるからです。現実は厳しいですが、とにかく事業を継続すること、今はそれだけを考えて毎日を送っています。
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