お客様インタビュー ・ 第4回
株式会社ベネッセコーポレーション 様
管理職へのマネジメントサイクルにそった研修提供が
【今回のお客様】
株式会社ベネッセコーポレーション 様
人財部 人財開発課の皆様
課長 飯田 佳子 様
管理職育成担当課長 谷 由紀子 様
マネジメント開発担当課長 流郷 紀子 様
稲葉 秀光 様
インタビュアー:
株式会社トッパンマインドウェルネス 岩崎玲子
取組の背景
岩崎:
最初に、御社の人財開発の方針をお聞かせいただけますか?力を入れていること、大切にしていることなどお聞かせ下さい。
飯 田 様
飯田:
ベースとして社員に伝えていることは、「社員は仕事のなかで成長する」ということです。従って、ベネッセの教育は、育成イコール研修というとらえ方ではなく、むしろ職場での仕事や、人と人とのかかわりの中で育成することが基本にあります。それをサポートするためのOFF-JTとしてどんなことができるのか、職場での育成を活性化するための働きかけができないか、という観点で企画をたてています。
また当社は評価報酬制度の運用も、今年から人財開発チームで行っています。これも、単に報酬を決めるために行っているのではなく、役割の付与や目標管理がOJTを通じて統合的に人を育てるベースになっていると考えているからです。OJTをうまくまわしていくための目標管理の仕組みや、研修の仕組みをトータルに設計したいと考えています。
岩崎:
研修で育てるというよりも、現場で育てることを軸に、人財育成の企画を構成されているということですね。それではベネッセの考える理想のリーダー像、人財像の特徴をお聞かせいただけますか?どんなリーダーになってもらいたいと考えていますか?
谷:
目指して欲しいリーダー像と管理職要件が昨年度制定され、何かあったらそこにもどるようにしています。目指して欲しいリーダー像とは、①ビジョンを語れる人、②決めて前に進める人、③人を惹きつけ気持ちを動かせる人、であり、自分の強みを活かして魅力的なリーダーとして事業と人を推進してほしいとしています。完璧なリーダーを目指すのではなく、それぞれの個性や強みを活かしてリーダーシップを発揮し、自分の言葉でリーダー像を語れることを目指してほしいと考えています。また、一方で、日々のマネジメントで求める役割については管理職要件に基づいて具体的に伝えるようにしています。
岩崎:
すごくクリアですね。 そのようなリーダー像が生まれた背景はあるのですか?
谷:
当社は近年新しい人事制度を導入したのですが、制度を策定する前段階で、管理職の役割や求めるリーダー像がはっきりしなかったという背景がありました。そこで目指すリーダー像について、トップをふくめて会社内で様々な議論があり、ベネッセのなかで何を大切にしていくのか、抽出したものから生まれたのが先ほどのリーダー像です。そういう意味では、言葉が凝縮されていて、当社の想いがこもったものになっていると思います。特徴的なことは、トップのメッセージとしてもあるのですが、全部を完璧にやることにとらわれず、自分の強みをうまく活かしながら自分なりのやり方でマネジメントを行うことを求めている点ですね。
岩崎:
このリーダー像は管理職に理解してもらいたいリーダー像ということですか?
谷:
そうですね。リーダー像の策定は制度改定に先立って行われました。役員クラスからの語りかけなども行っていただき、会社の想いを浸透させる機会になりました。
飯田:
今回の人事制度改定の一番の特徴は、その根幹に「成長支援」ということを置いたことです。
岩崎:
確かに「成長支援」は皆さんとの会議でよく聞く言葉ですね。御社にとって重要なキーワードのようですね。
飯田:
職場で社員を育てるキーマンは管理職ですので、まず管理職を育成することがキモになると考えたのです。そのためにも管理職の皆さんに目指して欲しい目標は明確にしたかったのです。
岩崎:
御社は社業が教育なので、社員の皆様も育成を意識しているのでしょうか?
飯田:
他の企業とも同じだと思いますが、成果主義の考え方が入ることで、成果を追求するあまり、短期的な目標を意識しすぎてしまう傾向が課題としてあったと思います。成果を重視することはもちろん重要なのですが、一方、会社の将来の飛躍的な成長を考えたとき、短期的な成果ばかり考えてはだめで、10年20年先を見据えて、足腰の強い社員をしっかり育てて成長させていかないと飛躍的な成長は難しいのではないか。その時、中長期な視点で、会社の大切な財産である人を育てることに立ち戻ったのだと思います。
岩崎:
背景に少子化もあって、海外にも出られたり、多様な事業のインキュベートもされている。その時の軸になるのはやはり人ということですね。
飯田:
ベネッセはヒトを育てることが商品力につながるしサービス向上にもつながる、と考えています。
人財育成の課題
岩崎:
管理職の育成を重視されていることが今までお話のなかで伺えました。今度は階層別の課題についてお伺いしたいと思います。御社としてはどの階層に課題を感じていらっしゃいますか?
流 郷 様
流郷:
シニア層の全体に占める人数割合が今後増えることを想定しています。個々の力をどのように発揮してもらえるかということが課題です。環境変化の激しい時代において、今までの延長線上だけの貢献ではなく、どんな環境でも活躍できる人になってほしいと考えています。そのためには、自分の売りや強み、ただし特殊な専門性ではく、汎用性のある強みを見い出して欲しいと思います。そのために、シニア層には仕事のアサインメントを工夫するなど、成長の機会を与えられるようにしたいと考えています。
また、次世代のビジネスユニットリーダーが十分に育っていないことが上げられます。ビジネスユニットリーダー候補者の層の厚さを増していくことも課題です。
岩崎:
シニア層の力の発揮は他社も悩まれている課題だと思います。御社ではどのような取組を行っていますか?
谷:
それぞれの領域での経験や専門性をもとに、後進の育成に力を発揮してもらいたいと考えています。育成は管理職だけが行うのではなく、みんなで育てていく環境を作りたいと考えています。
岩崎:
ビジネスユニットリーダーというのは御社のなかではどのような位置づけなのですか。
流郷:
次期経営者候補となる人財ですね。
岩崎:
この方々に対する具体的な取組の方向性はあるのですか。
飯田:
当社が今年ホールディング化されたことをきっかけに、ホールティングとしてグループ全体で幹部の育成しようという動きがスタートしました。グループ各社から選抜して育成することを行っていますし、一方本体でもグループ全体の経営幹部に繋がるような、経営責任をもってやっている人財を若手から育てようとしています。
岩崎:
そういう意味では、飯田さんがおっしゃっていた現場で育てるということにつながっていますね。
マネジメントサイクルに連動させた研修運営
トッパンマインドウェルネスは、ベネッセの新任管理職研修の運営をサポートしています。4月のマインドセット(認識転換)、6月の部下育成(コーチング)、9月の中間面談とマネジメントサイクルにそって、研修を提供している点が特徴です。
⇒この取組に関連する研修プログラムのご案内はこちら
トリの目マネジメント
トリの目コーチング
トリの目マネージャー養成プログラム
岩崎:
新任管理職になられた方への教育の考え方や設計について、この2年間を振り返ってみてどの様にお感じですか?
谷 様
谷:
弊社の人事制度の体系が変わっていくのと並行して、管理職の課題や問題を御社と共有しつつ、先ほど述べたリーダー像など会社のメッセージとうまくリンクさせながらプログラムを設計できたように感じます。
制度面では、管理職要件を定め、それに基づき任用することによって、「管理職=責任ある立場」としてのマインドセットにつなげることができましたし、会社が管理職として認めたということや会社からの期待を明確に伝えられるようになったと思います。
研修では、岩崎先生に当社の社員の特徴、苦手な面、得意な面をしっかり把握した上で、実践的なやりかたを情報提供していただいたので、参加者の腹落ち感を引き出せたのではと思います。
岩崎:
1年目に、コーチングを部下育成のスキルとして提供させていただいた時は、参加者の皆さんはとても勉強家でスキルへの興味は強い一方、リーダーとしての覚悟といったことが、課題として上がりました。そのような背景があって2年目はマインドセットとして、部長の皆様に来ていただいてディスカッションしたり、リーダー像や自分の仕事の意味や意義を考えたりしましたね。
谷:
マインドセット研修を通して、会社から期待を伝えたことが、大事な役割を担うのだという意識につながったと思います。また、育成についても管理職の役割として、自分が育てなくてはという認識に至ったと考えています。
岩崎:
認識を変えるというのはとても難しいものですね。研修の1日を使って自分について内省したり、先輩の話をきいたりして理解が促進できたのだと思います。
6月にはコーチング研修を実施しましたが、皆さんの反応や感想はいかがですか?
谷:
一番印象的なのは、自分が日々部下とどのようなコミュニケーションをとっているのか、客観視できたことだと思います。アンケートを見ても、そこへの反応が大きかったと思います。
自分の部下への普段の接し方を録音して、その会話を分析することで、たとえば自分ばかりが話しているなど、自分のクセが分かることが大きいと思いましたし、自分の思いと相手の受け止め方とのギャップに驚く参加者も多かったと思います。だから、もう1回やるときの真剣さが全然違う。
岩崎:
同僚同士のフィードバックもインパクトがあるようですね。
谷:
ロールプレイをやってこんなに気づくことはないと思います。
稲 葉 様
岩崎:
御社の特徴はコーチング研修を目標管理制度のスケジュールに連動させていることだと思います。6月に研修を実施したあと、管理職の皆様は9月の中間評価で部下と面談し半期のフィードバックを行うわけですが、これに先立つ形で、フォローアップ研修を実施しました。こちらの参加者の評価はいかがですか?
稲葉:
一般論では、管理職研修というと年何回もあるものではないでしょうし、参加者も1回の研修で学んだことを忘れてしまうパターンが多いのではないかと思います。そういう意味では、中間評価が差し迫ったタイミングに合わせて新任課長全員がフォローアップを受けるというのは、受け手としては満足感が高かったと思います。
流郷:
新任課長にとって部下を評価する事は初めてのことですし、不安な気持ちがあると思います。特にネガティヴな評価をつける場合はなおさらです。事前に研修を受けてもらい、そこで何かヒントが見つかれば良いと思います。また、日常のコミュニケーションの方法など、現場ではなかなか聞きにくいことがきっとあると思うのです。そのようなことを研修の場で教えてもらえることにも満足感があるのではと思います。
岩崎:
中間評価を終えた新任課長の皆様のご様子はいかがでしょうか?
谷:
やはりアサインメントが重要だと認識したという反応がきています。次年度はしっかりやりたいという声を聞いています。
人財育成への思い
岩崎:
それでは最後に、今後大事にしていきたいこと、人財育成への思いなどをお聞かせいただければと思います。
飯田:
御社との取り組みを通じて思ったのですが、研修の動きが現場のマネジメントの動きに連動していて、いわば水を飲みたいと思った時に水が出るといった感じで研修が行われていたことが非常に良かったと思いました。
そういう意味では、現場のマネジメントに生きる、役に立つ研修を提供することに注力することが大事だと感じましたし、そのためにも現場を見て積極的に連携をとっていきたいと思いました。
左から 稲葉様 飯田様
TMW岩崎 谷様 流郷様
岩崎:
研修効果が日々の仕事に現れにくいことは多くの企業が悩むことですが、御社はマネジメントサイクルに研修をのせて非常にうまく実施されていると感じます。また飯田さんが冒頭におっしゃっていた「仕事のなかでのサポート」という言葉も初志貫徹されていると感じました。谷さんはいかがですか?
谷:
「管理職支援」という言い方にも想いがこもっていると私は感じています。管理職は人の育成だけではなく色々なことを求められていて、非常に大変な役割だと思います。そのような中でも、やはり部下の育成は大切にして欲しいですし、実践してもらうために人財部として管理職の方々を支援していきたいと思います。そのことの積み重ねが育成の土壌作りにもつながると思っています。すごく難しくて、実際、失敗も多いのですが、少しでも進めていければいいと思います。
岩崎:
研修時に参加者に語りかける谷さんの表情からも、きっと今の想いが参加者に伝わっていると思います。
流郷:
今年度、残念ながら昇格できなかった社員の背景として、その社員自身の課題もあるのですが、実は上司のマネジメントに課題があるケースもみえてきました。具体的には、社員の成長段階に応じた適切な仕事のアサインができていない、仕事の意義を伝え、本人に考えさせることができていないように感じます。現場でそういうことが起こっていることを考えると、管理職をサポートできていなかった自分たちの責任を強く感じます。この反省をいかして次につなげていきたい。現場で社員が成長できるような支援をしていきたいと思います。
絶対的な正解はないと思いますが、目指したい姿に到達するためのサポートを続けていきたいと思います。
稲葉:
私は目標管理や報酬系の仕事を担当して1年近くになりますが、社員の成長支援を基盤にして考える人財部の風土に対してどのように貢献できるかということが、自然と考えの軸になっていきました。今後も続けていければと考えています。
岩崎:
サポートする人財部というコンセプトが皆さんから伝わってきますね。素晴らしい文化と感じたのですが、この文化は御社の伝統的な風土ですか?
飯田:
当社の風土として、あえて「育成」という言葉を避けて「支援」という言葉を使うことがあります。そのベースには、もちろん自分たちもサポートするのですが、前提として本人がその気になって、主体的な学びを重ねていくことの重要性を考えているからこそ「支援」という言葉になるのだと思います。社員の自律性という発想は当社の根底に流れていると思います。
実際のところ、人事制度の策定には多くの時間が費やされて、ようやくアウトプットされたというのが正直なところです。でもその期間を通じて、検討する人は変わっても、社員の議論を続けて、引き継いで出てきたものが「成長支援を目指した人事制度」だったのです。そこに至るまでにはトップの思いもあったのだと思います。
岩崎:
「成長支援」という文化が、御社にしっかりと根づいていることがわかりました。「管理職へのマネジメントサイクルにそった研修提供が、仕事を通じた成長支援を促進する」が今回の取組のテーマといえるのではないでしょうか。本日はどうもありがとうございました。







