効果的に1on1を続けていくための2つのポイント
(前編)

ファシリテーター 坂口雄人

ここ数年1on1ミーティングの導入・運用を進めている企業が非常に増えていると実感しています。ある調査では、大企業の4割は導入済とのデータもあります。

リモートワーク環境ですし、上司は同じオフィスでメンバーの様子を観察する機会が減ってしまいました。そのことによって、コミュニケーションのとり方、とるタイミング、情報共有のありかた等々、悩んでいる会社も多いようです。

そのような背景から、定期的な1on1の導入が積極的に推進されていますが、残念ながら、思ったように続かなくなってしまう会社もあるようです。

効果的に1on1を続けていくためのポイントとは何でしょうか? 当社がご支援したある会社の事例を紹介します。

支援事例より

    ■A社

  • 業界:情報サービス業
  • 組織規模:チームマネジャー10名、メンバー50名
  • 研修対象者:マネジャーおよび組織長10名

A社では、2020年の緊急事態宣言が出たタイミングで、全メンバーが在宅勤務をする体制へと移行しました。試行錯誤の中で急に始まった働き方であったことから、月に最低1回は1on1による定期的なコミュニケーションをとることで業務を円滑に進めようと取り組みがスタートしました。

具体的な実施方法はマネジャー個人の裁量に委ねられました。
各マネジャーは、自身の直接担当業務の成果を出すべく、それぞれが試行錯誤しながら、メンバーとのコミュニケーションをとっていました。

しかし、各マネジャーのスタイルに任されたコミュニケーションは、時間が経つにつれ、その差が顕著になってきました。たとえば、B課長は、slackなどのコミュニケーションツールを使って、個別に連絡をするスタイルをとり、時々込み入った話をしたい時はすぐに電話をすることで対応し、問題なくコミュニケーションがとれていると感じていました。

ところがあるとき、メンバーのCさんが「リモートワークを続けていると疲れますよね」とふと口にしたそうです。Cさんは独り暮らしのワンルームで生活していると聞いています。以前、在宅だと気が滅入るということを冗談ぽく話していましたが、長引く在宅生活でストレスが溜まっているのかもしれません。

B課長は、そういえば、各メンバーの顔色を確認する、雑談をする機会が減ったな。もう少しメンバーのコンディションを把握してフォローできないだろうか。他のマネジャーはどのように1on1を進めているのだろうか?と気になるようになっていました。

また、D課長は、メンバーのEさんとのコミュニケーションに行き詰まりを感じていました。指示した仕事はこなしてくれるのですが、それ以外に、自発的に考えて動いているように感じられません。オンライン環境下では細かい指示を出すことは難しいため、Dさんから現場の目線で気づいたことの効率化や新規の提案をしてもらいたいと感じていますが、どのように関わればEさんが自発的に動いてくれるのか、わからない状況が続いていました。

このように、各課長は日々の中で少しずつオンラインの1on1コミュニケーションに難しさや疑問を感じるようになっていました。A社の部門長は、このような状況をみて、一度1on1についてマネジャーで考える時間をとることが必要かもしれない。皆で改めて1on1の進め方を考えてみようと考え、当社へご相談をされたのでした。

Point1.まずは1on1の目的を確認する

A社では、1on1を実践し始めて1年くらいを経たタイミングで、マネジャーの皆様に集まっていただき、1on1の実践振り返りを行い、そこからより効果的な進め方を決めていくという時間をつくりました。

皆さんを会議室に集め、冒頭はチェックインからスタート。参加者の今の気持ちを出してもらいます。

マネジャーの皆様の中には、久しぶりに出社したという方もおり、「電車が意外と混んでいるのだな」という声や、「在宅ワークで子どもがうるさくて大変です」などというコメントが挙がっていました。

「皆さんが最近どうしているか、知らなかった。マネジャーがこうして近況を雑談する機会すら持ててなかったかもしれない。」
とある参加者からは、このような声も聴かれました。

チェックインの後は、参加された方お一人おひとりに、今やっている1on1の中で感じている意義、不明点などを挙げてもらいます。

  • 「相手と会話が弾まず、ただの業務報告になってしまう」
  • 「お互い忙しく、頻繁に中止したり、変更になったりしてしまう」
  • 「ただ聴いているだけだけど、それでいいのだろうか」

  • こうして皆が考えや悩みを出してみることで、それぞれが1on1の目的をどう捉えているかということが明らかになってきます。

    たとえば、1on1の目的を若手の業務支援とおくのであれば、業務報告をしてもらい、アドバイスをすることがポイントです。一方で社員のメンタルケアということであれば、コンディションの把握をすることがポイントになります。このように、1on1の目的があると確認すべきことが定まってきます。


    1on1を有効に機能、継続させるためには、実施する目的を検討し、皆で共有することが非常に大事です。

    A社では、それぞれのマネジャーが現状を共有したことで、自組織にとっての目的を再定義することに取り組みました。そのことで、何かコミュニケーションで悩んだ際も、目的に立ち返ってどうしたらよいか、マネジャー同士が相互にアドバイスしあう連携が見られるようになりました。


    このように1on1は、節目で現状を振り返り、マネジャー同士で今後の方向性を合わせていくということもおすすめです。


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