効果的に1on1を続けていくための2つのポイント
(後編)

ファシリテーター 坂口雄人

Point2.信頼関係を築く

前編では、1つめのポイントとして、「1on1の目的が共有されているか」という話をしました。

目的が共有されたら、次のステップとして1on1の中で継続的にコミュニケーションを活性化させていくことが必要になりますが、それは、1on1を実施する相手との間に”信頼関係”を構築できるかにかかっています。

皆さまにはこんな経験がありませんか?

自分が信頼している部下には、色々なことを相談したり、頼んだりできるけれど、自分が信頼できない部下には、仕事を頼みにくかったり、指摘が増えたりする。

この部下との信頼関係の有無は、部下の出来不出来によるものではなく、上司のものの見方が大きく影響しています。上司から部下との信頼関係を築くには、どうすればいいのでしょうか?


この「信頼関係を築く」具体的方法論はあまり語られていません。


そのため、多くのマネジャーは、相手を褒めようとしたり、相手の話をまず聞いてみようと努力しようとしますが、それだけだとなかなか相手の態度が変わらず、うまくいかないなと途中であきらめてしまうということも少なくありません。

私たちは、信頼関係を築くためには、かかわり方のスキルを高めるだけでなく、自分自身に対しての理解を深める必要があると考え、ランクとバイアスという考え方をご紹介しています。

信頼関係構築に必要な「ランク」と「バイアス」

ランクとは、アーノルドミンデルさんという方が紹介している概念で、人と人とがコミュニケーションをとる際に起こる力関係の差のことです。ミンデルさんは、大きく4つの種類があると紹介しています。
このランクの概念を知り、うまく対処していくことが信頼関係づくりに役立ちます。

一例として、上司と部下という役割のランク差を見てみましょう。上司は部下に仕事を委任し、必要であれば指導します。部下はその指導を受ける立場にいます。この場合、上司が高いランク、部下が低いランクにいることになります。高いランクの人は自分のランクに気づきにくく、低いランクの人は違和感や疎外感、被害者意識を感じやすくなります。

「やりたいことがあったら聞かせて、と言っているけど特に部下が言ってこない。」とは上司から時折聴く発言です。その時部下は「相談してもダメ出しされるだけだし」などという意識を持っているのかもしれません。この上司は、ランク差があることを自覚し、相手の立場に立って話を聴くなどの行動をとることから始めると、部下の被害者意識が消え、部下からの相談が増えることを実感できるかもしれません。

もう一つ、相手との信頼関係に影響を及ぼすものとして、人の持つ認知バイアスがあります。これは、人の特性上避けられないもので、我々は経験を通じて、「この人はこういう人だ」という決めつけを自然と行っていきます。

そのことによって、フラットに相手の意見を聞くことができなくなってしまうのです。

冒頭にあげた例のように、「この部下は、頼りにできないなあ」というバイアスを持っていると、部下はそれを敏感に感じて「この人は自分のことを大切にしてくれていない」と理解し、「頑張ろう」という気持ちを失っていくかもしれません。このように上司が自分のバイアスを自覚できず、無意識にそのバイアスを持ち続けていると、上司と部下の信頼関係は弱まるばかりです。

このように、ランクとバイアスという概念を理解することで、自分を客観視し、相手とより良好な関係性を築くための言動を選択できるようになることを当社は重視しています。

もしも、褒めたり、相手の話を聴いたりしていても、なかなか相手の反応が変わらないという場合、少し立ち止まって、自分のランクとバイアスに意識を向けてみてください。

そこに状況を変化させるヒントが見つかるかもしれません。


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